• 公開日:2023年09月26日
  • | 更新日:2024年02月09日

アウトドア男が挑む「温度制御」~第1話 エンジニア人生の始まり編~

はじめに

読者の皆さんはじめまして!2023年度入社の新人FAE 「KAZU」です。今回は入社してからの最初の関門、「製作実習」について、
私の経験談をお話ししていきます。私は今まで、チャリにスノボにキャンプにゴルフ、テニス、etc… とアウトドア大好きの化学科ボーイでした。FAEなんてまるで畑違い。電圧と電流の違いすら怪しかったことはここだけの話です。そんな私が挑む約1ヶ月半の製作実習物語を是非お楽しみください。

第2話はこちら

製作実習とは

マクニカには技術研修の一環として、1から仕様を決め、予算内で材料を揃え、作品を製作する「製作実習」というものがあります。基本的な工程は以下のようになります。

  1. 自分の作りたいモノを考える
  2. フローチャート、回路図、状態遷移図、ブロック図、電源ツリーなどを用いて仕様を考える
  3. 仕様を元にハードウェアの作成、ソフトウェアを作成する

また、製作するにあたっての条件は以下の5点になります。

  1. MSP-EXP430FR2433を使用する
  2. C言語を用いてプログラムを作成する
  3. センサを搭載する
  4. 表示系をつける(LED, 7segLED, LCD等)
  5. 何らかの割り込みを使用する

これらの条件を満たす作品を考えていきます。

さあ、何を作ろう

さて、今は6月上旬、2週間後には仕様書を提出しなくてはなりません。この2週間で構想を練って回路図等を書けるだけの知識を付けなければなりません。早速、

時間が…ない!

さっさと案を考えなくてはなりません。とりあえず私の大好きなアウトドアから絞っていきます。

このような流れで、15分程度でドリンクウォーマーにたどり着きました。決め手はやはり温度制御という漠然としたカッコよさです。
過去の先輩にもこのようなことをした方はいらっしゃいませんでしたし、正直男ですのでカッコよければ何だっていいのです。
そんなこんなで私の「ヒータによる温度制御を用いたドリンクウォーマー」の製作がスタートしました。

完成イメージ

早速完成イメージを考えます。まずは、どの程度の温度なら制御できるのかを考えていきます。予算は1万円と決まっているので、
高い素材、ヒータは買えません。ネットでヒータを調べてみると、400℃程度を出せるセラミックヒータが4000円程度で売っています。しかしこのスペックになると、

・熱による基板の損傷
・筐体に融点の低いポリ系の物質、発火点の低い素材を使うことができない
・筐体を守るための高機能素材が高くて買えない

などの問題が生じます。他の種類のヒータも見ましたが、どうにもお金の問題で難しい。この時点で

・安価である
・ヒータの表面温度が100~200℃程度まで加熱可能
・効率よく熱を伝えるためにカップを囲うことができるフレキシブルな素材
・程よい耐久性

というような条件が揃ったヒータを探すことにします。探しまくるとありました!

こんな感じのアルミ箔を用いたヒータならカップの周りを囲えるし、すぐに130℃程度まで加熱できるし、
なんてったって1100円!
作りが単純なので、耐久性もまずまず。これで一気にイメージが膨らみます。
とりあえずカップホルダーのイメージはこんな感じです。

このように、カップは熱を伝えやすいアルミ缶のみとします。正直どんなカップでも温まるウォーマーを作りたかったですが…

さらにヒータの熱、液体の熱を逃がさないための断熱材と、固定するための固めな素材をカップにフィットするように巻き付けます。アルミ缶の底部が凹んでいるので、そこに温度センサをはめ込み、アルミ缶がカップに挿入されたことを曲げセンサで判別します。
次に、他の仕様を考えます。私が欲しい機能は以下の通りです。

ホット缶コーヒーくらいの温度まで自由に温度設定ができて、保温もしてくれる仕様です。これらの仕様を元に全体の完成イメージはこんな感じになりました。

お、

結構いい感じにまとまったのでは?

悪くないです。

後は仕様書発表会を目指して、すべてがお初のフローチャート、回路図、状態遷移図、ブロック図、電源ツリーを作って、資料を完成させます。

ここに関しても記述したいのですが、飽きてしまうと思うので割愛します。
猛勉強して一応完成させたので、電源ツリー、ブロック図、状態遷移図、メイン概略フローだけ載せておきます。お時間あれば拡大して見てみてください。製品イメージがつかめると思います。

 

電源ツリー

ブロック図

状態遷移図

メイン概略フロー

仕様書作成までのまとめ

時間が無く焦りましたが、本当になんとかなりました。右も左も分かりませんでしたが、ここを乗り越えられたことが大きな励みになりました。正直仕様としては甘かった部分が多々あり、今後製作していく中で間違いに気づき修正していければと願っています。

次回は実際にハードウェアを製作していきます。

割と楽しみにしていた作業ですので、ウキウキで執筆したいと思います。

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